便のお悩み(4)便からみる健康状態
2020年3月31日
人間にとって「腸」は、栄養を吸収し、また排泄するためのとても重要な臓器です。その環境が良ければ健康につながり、また反対であれば体全体に悪影響があることは明らかです。
では一体、腸の環境を知るために、一番手っ取り早い方法は何でしょうか?
それは、やはり「便」を観察すること。
色、におい、形など、意識的にチェックしているでしょうか?
現代のトイレは、自動洗浄や自動消臭、また汚れ防止のため泡の洗剤を便器に浮かべているなどで、便そのものをまじまじと観察する機会が減っているかもしれません。
自分の健康状態をチェックするためにも、一度よく見てみてください。
腸内環境のバランスが取れているときの便は、どのようなものなのでしょうか。腸内環境が良い=善玉菌優位であれば、善玉菌の働きにより腸内は酸性になっています。
そうすると、黄色味がかった茶色(黄土色)で、バナナ状で1日2〜3本程度の量があり、水に浮きます。またほとんどにおわないはずです。
排便するときも苦痛なくすとーんと出て、また残便感などもありません。
よく「宿便が出てすっきり」などという広告を目にしますね。
その言葉の響きからは、長年腸にたまった便のイメージがわきますが、何年も便が腸にとどまるということはありえません。
腸の細胞は新陳代謝が早く、数日で生まれ変わるためです。
ただ、便秘になったときは「いつからあったんだろう!?」という、宿便と思ってしまうような固くて黒い便が出ることもあるでしょう。
黒っぽく、ウサギのような小さくころころした便や、太くても硬い便。これは、2〜3日前に食べたものが排泄された可能性があります。
また、下痢便、軟便も腸内環境が悪化していますよという腸からのお手紙です。
いずれも、悪玉菌が繁殖したアルカリ性の腸でできた便で、悪臭も強いはず。
こうしたウンチをした数日前の食事や生活を思い浮かべると、なるほどと思えることがあるかもしれません。
そもそも便がなぜ茶色いかというと、胆汁が混じっているためです。胆汁は、脂肪の消化や吸収に大切な役割を果たしているもの。
この色が抜けて白っぽい便が出た場合は、肝臓や胆嚢がうまく機能していないことが考えられます。
また、便秘でも便が黒っぽくなりますが、便秘のときと比べても黒いと感じる場合、「血が混じっている」ことがあります。胃や腸から出血している場合、便が腸内で黒く変色してしまうのです。
病気がかくれていないか、病院でチェックしてもらいましょう。
鮮血がついているときは痔である場合が多いのですが、消化器の病気である場合も。また粘り気のある血がついているときも要注意で、検査がすすめられます。
「黄土色のバナナウンチ」ではない場合は、腸に何かしらが起きている可能性があるということですね。
ウンチは体の中から出てくるものとして、いろんなことを教えてくれます。
臭い、汚いとすぐ蓋をせず、ぜひ毎日チェックしてみてください。
参考文献
『ホリスティック健康学・ホリスティック栄養学入門: “21世紀の新・ベジタリアン生活”のすすめ』小池里予、 小池英(著)ホリスティック栄養学研究所(2004)/『顔でわかるカラダのSOS』工藤武彦(著)ゴマブックス(2013)