便のお悩み(1)軟便
2020年3月31日
軟便は、その字のごとく「軟らかい便」のこと。下痢まではいかず、形をとどめている状態のものか、一部形をとどめているものをいいます。
力まなくても出るかもしれませんが、排便時のキレが悪いため、排便後もすっきりしない感覚があるでしょう。
下痢便になると、水分が多くなり形をとどめなくなります。
正常で理想的な便の水分量は約70〜80%ですが、これが80〜90%になると泥状便(軟便)、90%以上で水様便(下痢便)になります。
もし軟便・下痢便になったら、まず発症数日前に思い当たることがないか、原因を考えてみましょう。
軟便になったとき、腸では一体何が起こっているのでしょうか。
まずひとつは、腸の運動が過剰になり、内容物の水分が吸収されずに腸を急いで通過してしまっている状態。
何らかの原因により、腸からの水分分泌が多くなったことも考えられます。また、腸内環境が悪くなっている可能性も。
軟便になったとき具体的には、こんなことが思い当たるかもしれません。
□腐ったもの・賞味期限切れのものを食べた
□生物、半生のものを食べた
□作ってから時間の経ったお弁当を食べた
□海外の硬水など、普段飲み慣れない水を飲んだ
□お酒をたくさん飲んだ
□水をたくさん飲んだ
□辛いものを食べた
□落ち込むことがあった
□薄着でお腹を冷やした
□コーヒーや炭酸飲料など刺激の強い飲み物を飲んだ
□揚げ物やステーキ、クリームたっぷりのケーキなど脂肪分・糖分の多い食べ物を食べた
□ソルビトールやキシリトール入りの食品をとった
食べすぎ飲み過ぎやストレス、冷えなどにより、腸の異常な運動を誘発してしまいます。
また食中毒などを起こしたときは、腸で水分が過剰に分泌され、軟便や下痢を引き起こします。
脂肪分や油分、糖分の多いものをとり過ぎて悪玉菌が増えたときも、便秘だけでなく軟便や下痢になることがあるんです。
キシリトールやソルビトール、オリゴ糖も、とりすぎるとお腹が一時的にゆるくなる場合があります。
ただ、いつもと違う下痢で長時間続くなどの場合は自己判断せず、医師の判断をあおいでください。
冷たいものを飲みすぎて腸が冷えると、腸の運動が異常に高まり軟便を引き起こすことが。
薄着で冷房に当たったときも、お腹が痛くなることがありますよね。
冬であればカイロやハラマキなどでお腹を温めてあげたり、夏もストールや羽織りを用意して冷房対策をしっかりと。
夏場でも、お風呂につかってお腹の冷えを取るとよいでしょう。
お腹を冷やさない、温かく消化によい食事を心がけるのがまず基本ですね。
お酒やコーヒー、辛いものなどの刺激物を控え、ストレスのもとになるものと離れてゆっくり休息を。
そしてプラスアルファできるなら、腸内環境を整えるものを摂取しましょう。ヨーグルトだとお腹が冷えるという場合は、ビフィズス菌のサプリメントもおすすめです。
ビフィズス菌は悪玉菌を減らして、腸内環境を整えてくれます。
次回は、あまり人に聞くことのない「排便回数」についてお話していきます。
参考文献
『看護の現場ですぐに役立つ排泄ケアのキホン』中澤真弥(著)秀和システム、2018