便秘予防(6)
2020年3月31日
便秘気味でお腹がスッキリしない、ストレスでお通じが滞りがち……など、お通じの悩みを抱えている女性は少なくないのでは? そこで、東邦大学医療センター大橋病院(東京都目黒区)の婦人科医でプロボクサーでもある髙橋怜奈(たかはし・れな)先生に便秘を予防するためのエクササイズや食生活、生活習慣について伺いました。
——便秘を予防するためのエクササイズを教えてください。
髙橋:「むくみ」にも関係してくるのですが、筋トレなどの無酸素運動は交感神経が優位になって便が出にくくなってしまうので、副交感神経が優位になるヨガやピラティスなどゆっくりした動きのほうがいいと思います。
お腹をさするのも効果的です。仕事中や休み時間に直接お腹をさすって「の」の字を書くようにマッサージすると腸が動くのでおすすめです。
——直接お腹をさするのですね。
髙橋:あとは、ぬるま湯につかったり、温かいミルクを飲んだりするのもいいと思います。
お腹が空いているときに甘いものを食べると血糖値が急激に上がって脂肪がつきやすくなってしまうので、急激に血糖値が上がらない食べ物をとるのもいいと思います。
私は寒天を作って冷蔵庫に常備しているのですが、作っておいた寒天とヨーグルトを混ぜてよく食べています。カサ増しすることで次の食事で血糖値が上がるのを防いでくれるのでおすすめですね。もし、甘さが欲しかったらフルーツと一緒に食べたり、ハチミツやきな粉をトッピングして食べたりしてもいいと思います。
——便秘を予防するための習慣は?
髙橋:やはり朝起きたときに何かを口に入れるのが大事だと思います。お通じって、起きてしばらく経ったり、慌しかったりすると交感神経が優位になって出にくくなるものなんです。なるべく朝は余裕をもって何か食べれば腸が活発になるので、お通じを朝の習慣にしてしまうのがいいと思います。
——朝食でおすすめの食品はありますか?
髙橋:もちろん、よく言われるバナナやヨーグルトでもいいですが、基本は好きなもので結構です。甘いものは血糖値が上がってしまうので、食物繊維を多く含んだものやGI値(グリセミック指数。食後の血糖値の上昇度合いを示す指標)が低いものがいいですね。
先ほども申し上げたように、「朝一番に何かを口に入れる」ことが重要です。
病院では、手術後の患者さんにチューインガムを噛んでもらうこともあります。口で何かを噛んでいる状態を作ると、脳が錯覚して腸を動かすんです。口に入れることで脳から「動きなさい」という命令が腸に行くんです。
——まずは腸を動かすことが大事なのですね。
——もう一つ伺いたいのですが、普段はお通じに問題がなくても生理前になると便秘気味になるという女性がいます。それはどんな仕組みなのでしょうか?
髙橋:生理前は、プロゲステロン(黄体ホルモン)という、PMSやむくみの原因となると言われているホルモンが分泌されるのですが、水分をためる働きがあります。そうなると、水分が腸からうまく排出されなくなるので、コロコロの便になりやすいのです。
生理が始まるとプロテゲステロンが少なくなるので便秘が解消します。むしろお通じがゆるくなったりする人もいます。
——生理の影響でお通じが滞りがちになったときも普段の便秘の時と同じ対応でよいのでしょうか?
髙橋:同じで大丈夫です。リラックスして過ごしてください。