「長寿時代の健康」オンラインセミナー第1回
2022年6月22日
人生100年時代と言われ、健康寿命をいかに伸ばすかが注目されています。
長年のビタミン研究や医薬品事業に携わりながら培った技術を活かし、新しい時代の健康ニーズに応える研究開発に挑戦し続けている「日清ファルマ」が2022年3月26日(土)、会員誌『Nile's NILE(ナイルスナイル)』の会員向けに「長寿時代の健康」オンラインセミナーを開催しました。
同セミナーは、第一部「ビタミンによる健康寿命の延伸」東北大学大学院・農学研究科 白川 仁(しらかわ・ひとし)教授、第二部「次世代成分NMNについて」日清ファルマ 中山優也(なかやま・ゆうや)登壇による二部構成になります。
これから3回にわたって特別セミナーの一部をご紹介します。第1回目は、東北大学大学院農学研究科の白川教授が「ビタミンによる健康寿命延伸」について講演された第一部前編の内容をお伝えします。
白川仁教授(以下、白川):東北大学大学院農学研究科の白川です。基礎栄養、基礎食品化学を研究しています。今回は、データを交えながらビタミンが健康寿命の延伸に関わっていることをご紹介したいと思います。
平均寿命と健康寿命には差があります。2019年の厚生労働省のデータによると、平均寿命は男性が81.41歳、女性が87.45歳です。健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)は、男性が72.68歳、女性が75.38歳で、男性では約8歳、女性では約12歳の差があります。
白川: 細胞自身は寿命が決まっており、若い細胞からどんどん老化していきます。老化すると細胞の見た目は変わらないのですが、老化した細胞の中から炎症を起こすタンパク質が出ることが分かっています。糖尿病、動脈硬化、認知症、サルコペニア、がんなどのいろいろな病気が、症状はそれぞれ違うものの、症状が発症するところや病状が悪くなっていくところに慢性的な炎症が大きく関わっています。
今回、ご紹介するビタミンには、炎症を抑えることで症状を軽減したり、発症を抑制したりすることが期待されています。
白川:カロリー制限によりヒトの健康寿命の延伸に関わる因子が同定されてきています。
カロリー制限によってなぜ寿命が延伸するのかというと、エネルギーを作る細胞内の器官であるミトコンドリアがカロリー制限によって活性化します。
カロリー制限をするとNAD⁺がたくさん出ます。そして、ATPというエネルギーをためている物質が消費されてAMPになります。NAD⁺とAMPはエネルギーが枯渇していることのシグナルになっています。そのセンサーがSIRTとAMPKという二つのタンパク質です。このタンパク質の活性を高めることで、炎症が抑えられることが分かっています。
「食品成分の中にSIRTとAMPKはないのか?」「カロリー制限することでNAD⁺やAMPを増やすことが重要なのか?」という視点で考えると、食品成分の中でNMNが体に入るとNAD⁺に変換されてSIRTが活性することが分かっています。
AMPKに関しては、レスベラトロール(赤ワインの中に含まれているポリフェノール)がAMPKを活性化することが分かっています。
※動画では特別セミナーで紹介された論文や実験の内容がより詳しくご覧いただけます。