NMNと病気予防

2021年9月30日

NMNと“国民病”糖尿病の関係は? 病気予防への期待

「人生100年時代」と言われ、長く生きることが当たり前になった時代ですが、いつまでも元気に年を重ねたいというのは多くの人が望むところなのではないでしょうか。

そこで、老化制御の可能性を秘めているとして話題になっているのが「NMN」という成分です。

今、世界中の研究者から注目されている成分ですが、病気の予防と緩和にも期待がかかり、研究開発が進められています。

今回は、NMNと病気の関係について紹介します。※

※それぞれ治療モデルによる結果であり、ヒトでは確認されておりません。

NMNと“国民病”糖尿病の関係は?

II型糖尿病は、カロリー過多・運動不足などの生活習慣や加齢により、血糖値を下げてくれるインスリンの働きが鈍ることで発症します。

糖尿病は初期では自覚症状に乏しいため、年に1回の健康診断で血糖値を把握することが大切です。野菜や大豆製品、海藻、キノコを多くとり、タバコや飲酒、甘い飲み物を控え、運動をすることも発症予防に効果的です。

しかし今や、すでに成人の6人に1人が糖尿病あるいはその予備軍。近年その数を急増させており、脳卒中や虚血性心疾患などの発症原因にもなると知られています。

インスリンの働きが鈍くなる糖尿病患者の体内では、NMNからできるNAD量が低下していることがわかっています。そこで糖尿病モデルにNMNを投与したところ、血糖値が下がり、糖尿病の病態が改善することがわかりました。

NMNと動脈硬化、心筋梗塞

動脈硬化とは、動脈の壁が硬く・厚くなり弾力性が失われ、働きが悪くなる病態のこと。プラークや血栓により血管が詰まりやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こしやすくなると知られています。

動脈硬化を予防するためには、喫煙を避け、動物性の脂のとりすぎ、お酒の飲み過ぎ、塩分過多、運動不足、ストレスなどに気をつけ、野菜や大豆製品、魚を摂取することが大切です。

ここでもNMNは、深刻な病気を招く動脈硬化や心筋梗塞を予防する可能性があるとして、注目が集まっています。

動脈硬化モデルにNMNを投与したところ、動脈の柔軟性が増し、酸化ストレスが抑制されることが確認されたのです。

NMNとアルツハイマー型認知症

糖尿病、動脈硬化……それに加え、年を重ねれば誰しも気になるのが「認知症」ではないでしょうか。

高齢化社会になり、ますますその数が増えていくと予想される認知症。老齢期のQOLを左右する病気であり、予防薬や治療薬の開発が全世界で待たれています。

認知症の中でもっとも患者数が多いアルツハイマー型認知症では、アミロイドβ と呼ばれるタンパク質がゴミのように脳にたまり、細胞死を起こすことで発症することがわかっています。

このアミロイドβ の排出を促進し認知症を予防するために、緑黄色野菜を食べ、よく眠ることなどがすすめられています。

認知症モデルに実施した実験では、NMNを投与すると空間学習認知機能と記憶力がアップし、発症前と同程度のレベルまで回復しました。

さらにアミロイドβ そのものの産生や慢性老人斑、シナプスの喪失、炎症反応などを減少させることも証明されました。

このことから、NMNはアルツハイマー型認知症による障害を改善することが期待されています。

加齢に伴って増えていく疾病予防にも、NMNには大きな可能性を感じさせてくれます。今後の研究が待たれます。

参考文献
国民健康・栄養調査(平成28年・30年)、厚生労働省 図表1-2-8 糖尿病患者数の状況(2016)、厚生労働省 e-ヘルスネット

プロフィール有馬美穂
ライター。2004年早稲田大学卒業。『VERY』をはじめ、さまざまな雑誌媒体等で主にライフスタイル、女性の健康、教育、ジェンダー、ファッションについての取材執筆を行う。2児の母、文京区在住。

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