腸活×夏バテ予防(2)

2020年6月02日

夏バテ予防のための食べ物と習慣【医師に聞く】

暑い季節になると食欲がなくなったり、体がだるくなったり、おなかを壊したり、よく眠れなかったり……などの症状を感じる人もいます。特にここ数年は猛暑が続いていることもあり、「夏バテ」の症状に悩む人は多いのではないでしょうか?

そもそも「夏バテ」ってどんなことを言うの? 予防のために大切なことは?

睡眠やストレス、食事などから「生活習慣病としてのうつ病」を専門とし、東洋医学の和漢、西洋医学の面からトータルに病気へアプローチを行う心療内科医の田中奏多(たなか・かなた)先生に「夏バテ」をテーマにお話を伺いました。

自律神経の乱れが原因 夏バテの症状は?

--そもそも「夏バテ」とはどんな症状なのでしょうか?

田中奏多先生(以下、田中):夏バテは、夏に起こる、疲れやすかったり、倦怠(けんたい)感を感じたりする不快な症状や、食欲低下、体重減少を指します。高温多湿の気候で自律神経が乱れることが原因です。

--自律神経の乱れが原因なのですね?

田中:はい。人間は、自律神経である交感神経と副交感神経のバランスを取り合って体温や発汗、心拍、血圧、消化機能などの調整をしているのですが、近年ではクーラーが普及し、 夏の高温多湿だけでなく外気と室温の気温差が大きくなることにより自律神経に負担がかかり乱れてしまいます。冷えが体に入ることで、胃腸の働きが落ち、倦怠(けんたい)感、食欲低下などの症状も起こります。

東洋医学の視点では、高温多湿による心身不調と冷えを伴う心身不調は異なる病態と考え、漢方も異なる処方を選択します。

夏バテ予防のための食事は?

--食事はどんなことに気をつければ良いですか?

「暑いとなかなか食欲がわかない」というときはなるべく簡単に口当たりのよいもので済ませようと、つい食事を作ることも食べることも面倒になりがちです。「夏はついそうめんばかり食べてしまう」という人も多いのではないでしょうか?

--心当たりがあります。。

田中:お気持ちはわかるのですが、栄養をバランスよくとることが大事ですので、炭水化物だけの偏った食事ではなく、ビタミン、ミネラル、たんぱく質もとりましょう。

--はい! ふと疑問に思ったのですが、そもそもなぜバランスのとれた食事が大事なのでしょうか?

田中:例えば、炭水化物(糖質)だけの食事など栄養が偏ってしまうと、ビタミンB1が炭水化物(糖質)をエネルギーに変換することに使い果たされ、疲労をより感じやすくなります。

--そういう仕組みなのですね。

田中:夏バテの予防にはビタミンやミネラルをとることもかなり重要です。ビタミンやミネラルを十分に補給できなければ、体液のバランスが崩れ、心身の不調が出やすくなります。野菜やたんぱく質なども含め、栄養の偏りがないバランスのよい食事がおすすめです。

また栄養バランスのよい食事は腸内細菌を安定させることができます。腸内環境を整えることで弱った腸の働きを助け、免疫力も上げることができ、夏バテの予防にもなります。

--腸内環境を整えることも大事なのですね。

私たちの大腸内には1,000種類、1,000兆個もの腸内細菌が住み着いており、その細菌たちの生態系を腸内フローラといいます。

腸内フローラは全身のエネルギー代謝機能に大きく関わっているのですが、腸内フローラや代謝物産生(腸内の糖質や食物繊維が変化して酢酸や乳酸などの代謝物質が作られること)に大きな影響を与える「食」が重要です。

古くから「医食同源」といわれるように、エネルギー代謝機能を安定するためには、腸内環境を整える食事をとることが必要です。特に夏は、先ほど話したようにビタミン、ミネラル、たんぱく質をバランスよくとるようにしましょう。

夏バテ予防するための習慣は?

--夏バテを予防するために気をつけたい習慣はどんなことでしょうか?

田中:最近は、暑さによる夏バテよりも、冷房の使いすぎや冷たい飲み物や食べ物を食べすぎることが夏バテの引き金になることが多くなっています。なので、下記のことに注意してみてください。

□冷たいものを一度にたくさん飲んだりすることは控えましょう。

□意識的にショウガやネギ、スープなど身体を冷やさないように身体を温める食事を意識しましょう。

□空調による過剰な冷えを避けるため、羽織やスカーフなどを体温調整できるようにしましょう。

□体を動かすことで、汗を適度にかきましょう。

プロフィール田中奏多先生
心療内科医・産業医・調理師。
「働く人を支える」薬に依存しない心の医療を展開するBESLI CLINICを2014年に協同創設しました。マサチューセッツ大学MBACourse在学中、産業医の視点からもビジネスマン・ビジネスウーマンを支えております。調理師として栄養指導や、和漢(東洋医学)、ホルモンをベースに身体から心に、新しいうつ病の治療のTMS治療で脳から心にアプローチする診療をしております。米国マウントサイナイ大学病院へ留学、ハーバード大学TMSコースを修了しました。TMSをクリニックへ導入、世界最新の日本人に合わせたTMSの技術指導、統括を行っています。

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