腸内環境とストレス(4)

2020年5月28日

なぜストレスがたまると便秘になるの?【医師に聞く】

私たちの大腸内には無数の腸内細菌が住み着いており、その細菌たちの生態系を腸内フローラといいます。

腸内細菌は私たちの体の働きにさまざまな影響を与え、健康状態や病気の発症などとの関連が注目されています。体にとって有益であると考えられる細菌は善玉菌(乳酸菌やビフィズス菌など)、有害な影響を与える細菌は悪玉菌(ブドウ球菌やウェルシュ菌など)と呼ばれています。

腸内細菌は、バランスを保ちながら共存しています。腸内フローラのバランスが崩れるとおなかが張ったり、便秘や下痢になったり、肌が荒れたりと体調を崩しやすくなりますが、ストレスとの関係もわかっています。

そこで、睡眠やストレス、食事などから「生活習慣病としてのうつ病」を専門とする心療内科医の田中奏多(たなか・かなた)先生に「腸内環境とストレスの関係」をテーマにお話を伺いました。全4回。

なぜ、ストレスで便秘が起こるの?

--普段はお通じの調子は良いのですが、旅行や知人の家に泊まりに行ったり、いつもと違う環境や気を張った状態に置かれると、便秘になることがあります。ストレスと便秘の関係について教えてください。

田中奏多先生(以下、田中):ストレスにより、腸管の緊張が起こることで痙攣(けいれん)性便秘となりやすくなります。

ストレス反応がおきると、交感神経が優位になります。交感神経は「戦いの神経」と言われている通り、体を活発に動かすときに働く自律神経です。交感神経が優位になると、脈や呼吸は速くなり、消化機能は抑制されます。その結果、腸の動きが悪くなり便秘になりやすくなります。

また、ストレスにより腸内フローラが変化し、結果として腸管運動や水分分泌が変化することで便秘がおこります。

痙攣(けいれん)性便秘は,結腸の持続的痙攣のために便の通過障害を起こしている状態であり、過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome;IBS)の便秘型にあたります。

--言葉の通り、腸が過敏になるということでしょうか?

田中:そうですね、過敏性腸症候群は、精神的ストレスなどの刺激に対して腸が過敏な状態になり、下痢や便秘などの症状が繰り返し起こる病態です。

ストレスで下痢を起こす人もいますが、ストレスにより、自律神経が乱れたり、腸内フローラが乱れることが原因と考えられます。自律神経が乱れることで消化管ぜん動運動が活発になり下痢や反復性の腹痛がおこります。

痙攣(けいれん)性便秘の予防法は?

--ストレスが原因で起こる痙攣(けいれん)性便秘の予防法について詳しく教えてください。

田中:痙攣(けいれん)性便秘は腸管の緊張抑制を目的とした食事や運動などの生活環境の改善が効果的です。規則正しい日常生活、食生活を心がけましょう。また、過労やストレスが原因であることも多いのでストレス源を取り除くよう努めましょう。

食生活では、食物繊維の中でも、特に水溶性食物繊維の多い、いも類や果物類、海藻類、葉物野菜などを積極的に食べましょう。生きた善玉菌である「プロバイオティクス」として、動物性乳酸菌であるヨーグルトや乳酸菌飲料、植物性乳酸菌である醤油、味噌などを食べることで腸内細菌の改善ができます。

腸内環境の改善としては、腸内に住む善玉菌のエサで、善玉菌を増やし活性化する「プレバイオティクス」をとるのも効果的です。プレバイオティクスは、ハチミツや大豆製品、牛乳、タマネギなどオリゴ糖を含んだ食品や食物繊維などです。

刺激が強い、濃い味付け、過度なアルコールやカフェインなどは避けたほうがいいです。過食も避けましょう。揚げ物などの脂質、ガスを発生させやすい食品は食べ過ぎないように気を付けたほうがいいですね。

--刺激の強い食べ物は避けたほうがいいのですね。生活習慣はいかがでしょうか?

田中:生活習慣としては、リラックスする時間を意識的につくりましょう。仕事の合間に深く息を吐いたり、ゆっくりと湯船に浸かったり、なるべく1日の中でリラックスできる時間をとるようにしましょう。

便秘とは反対に、ストレスが原因となって下痢が起こる場合も、なるべくリラックスタイムをとるようにしましょう。

参考文献
厚生労働省「e-ヘルスネット」

プロフィール田中奏多先生
心療内科医・産業医・調理師。
「働く人を支える」薬に依存しない心の医療を展開するBESLI CLINICを2014年に協同創設しました。マサチューセッツ大学MBACourse在学中、産業医の視点からもビジネスマン・ビジネスウーマンを支えております。調理師として栄養指導や、和漢(東洋医学)、ホルモンをベースに身体から心に、新しいうつ病の治療のTMS治療で脳から心にアプローチする診療をしております。米国マウントサイナイ大学病院へ留学、ハーバード大学TMSコースを修了しました。TMSをクリニックへ導入、世界最新の日本人に合わせたTMSの技術指導、統括を行っています。

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