大腸炎予防(2)

2020年5月13日

ビフィズス菌との関係は? 大腸炎を予防するためにできること

大腸炎を起こしている腸内では何が起きている?

前回お伝えした通り、潰瘍性大腸炎とは、大腸粘膜やその下層に炎症を起こし、下痢や腹痛、ときに血便を伴う難病です。

肉などをよく食べる欧米での発症率が高く、文明病とすら言われるこの「潰瘍性大腸炎」。

まだ、はっきりした原因は不明ですが、何らかの免疫系の原因により発症、腸内細菌の異常によって悪化することが推測されることから、腸内細菌との関連についての研究が精力的に進められています。

潰瘍性大腸炎患者の腸内では、ビフィズス菌などの菌や、菌数自体が減っていることがわかっています。

潰瘍性大腸炎の患者が「ビフィズス菌」をとったら

潰瘍性大腸炎患者に、「ビフィズス菌含有大腸崩壊性カプセル」を飲んでもらった研究結果があります。

「ビフィズス菌含有大腸崩壊性カプセル」とはつまり、胃では溶けず腸で溶けるハードカプセルに入れたビフィズス菌のサプリメントです。

このサプリメントでビフィズス菌を摂取したところ、腸内有害菌が抑制され、腸内細菌のバランスが改善したといいます。

カプセルを摂取している期間中、血便スコアは改善、便の色は善玉菌が多いことを表す黄色化し、また便の臭いも減少する傾向が見られました。また、下痢や腹痛なども7例中5例が改善、2例がやや改善という結果に。

これらのことからも、ビフィズス菌カプセルは、潰瘍性大腸炎患者にとって有用な機能性食品だと考えられるのです。

今は市販で手軽にビフィズス菌入りの、腸まで届くカプセルが発売されています。

“地中海式”の和食で大腸炎が減る?

また、もともと潰瘍性大腸炎が少ないとされる地域があります。それは、「地中海式和食」が伝統的に見られるという、山梨県。

地中海式和食とは、一体どんな食事なのでしょうか?

それは、オリーブオイルをたっぷり使い、穀物、魚、野菜、果実を豊富に摂る一方、肉類や乳製品は控えめにするという地中海と和食のいいとこどりをした食生活です。

かつて日本の長寿県だった沖縄県が欧米式の食文化になっていき健康寿命を下げたのと反対に、「地中海式和食」の傾向が強い山梨県では、潰瘍性大腸炎が少なかったというのです。

また長寿地域として有名な山梨県の棡原(ゆずりはら)地区では、米だけでなく雑穀をよく食べ、食物繊維の豊富な丸麦なども豊富にとっていることがわかりました。

こうした食生活に支えられ、この地域の人たちは、実年齢よりも20〜30歳若い腸内年齢を示していたのだそうです。

肉類を食べすぎると、悪玉菌が増え腸内環境が悪化するのはお伝えした通りですが、ビフィズス菌などの善玉菌が増えやすい食生活で、潰瘍性大腸炎の発生が抑えられる可能性があるということですね。

また、潰瘍性大腸炎患者がビフィズス菌発酵乳を1年間摂取したところ、病気が再発した率が、ビフィズス菌を飲んでいた患者では27%、飲んでいなかった患者では90%と、ビフィズス菌発酵乳が再発を防ぐ可能性が示されました。

ビフィズス菌のパワーには、どうやら底知れないものがありそうですね。

参考文献
『ビフィズス菌含有大腸崩壊性カプセルの臨床的有用性』鮫島由規則、鮫島隆志、平川あさみ、丹羽 清志、永田 祐一、鮫島加奈子、松元淳、渋江正 腸内細菌学雑誌 17:67-79,2003/『日本一の長寿県と世界一の長寿村の腸にいい食事』著:松生恒夫 PHP研究所(2018)/『大便革命 腐敗から発酵へ』著:辨野義己 幻冬社(2018)

プロフィール有馬美穂
ライター。2004年早稲田大学卒業。『VERY』をはじめ、さまざまな雑誌媒体等で主にライフスタイル、女性の健康、教育、ジェンダー、ファッションについての取材執筆を行う。2児の母、文京区在住。

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