大腸炎予防(1)

2020年5月13日

身近なようで実は怖い、大腸炎について知っていますか?

若い人にも増えている潰瘍性大腸炎

満員電車の中や会議中に便意をもよおし、我慢できなくなってトイレに……。ひどい腹痛、下痢、ときには血便。

ただ「お腹が弱い」では片付けられないこうした症状は、大腸の粘膜で炎症が起こってしまう「潰瘍性大腸炎」かもしれません。原因不明の腸の炎症により、腹痛に悩まされ、一日に何度もトイレに駆け込まなくてはならなくなる病気です。

考えただけでもストレスフルな状態ですが、実際に日常生活を送ることが困難になる患者さんは少なくありません。

原因は免疫の異常や環境・遺伝的な因子が関わっているといわれ、発症の中心は20代と若いのも特徴。環境要因とは、食生活の欧米化や、食事(特に砂糖が入った菓子類などの摂取)との関連があげられています。

また、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患では、「腸内細菌の種類・量が健康な人とは異なっている」という報告もあり、腸内細菌が関わっているとも考えられています。

ぶり返す可能性が高いため、将来に不安を抱える場合が多く見られます。

潰瘍性大腸炎の症状とは?

さらに詳しく、潰瘍性大腸炎の症状を見ていきましょう。

主には、腹痛や下痢ですが、血便や粘血便、血性下痢なども出てくることがあり、重症度やどれくらい腸で炎症が起きているかによります。

軽症の場合は血便は出ず、重症化に伴い出血する傾向があるようです。

またこの他にも、発熱や食欲不振、体重の減少、貧血などが加わることも多く、さらには関節炎や膵炎、皮膚症状などの合併症が見られることも。

長期にわたり、また大腸全体で炎症を起こしている場合は悪性化の傾向があるとも言われています。また特定疾患(難病)指定されており、治療法が未だ確立されていない病気です。

潰瘍性大腸炎の診断にはどんな検査が必要?

まずは、炎症や貧血度合い、栄養状態など全身の状態を調べるため血液検査を行います。

また、感染性腸炎との区別のため、便検査と、内視鏡検査も行われます。また、腸管の様子を見るために、CTやMRIを行うことも。

こうした検査の結果診断が下ると、状態に応じて主に薬物治療などで治療していきます。

感染性胃腸炎とは?

潰瘍性と区別される「感染性胃腸炎」とは、どんなものでしょうか。

こちらは潰瘍性と比べて治りやすいですが、ときには命を落とすこともあります。

よく聞くものに、ノロウイルス、ロタウイルス、O-157などがあげられます。

冬場に起こる急性下痢症の多くはノロウイルス、ロタウイルスと考えられ、生牡蠣を食べることでノロウイルスにかかることがあるのは有名ですね。

O-157は激しい腹痛を伴い、鮮血便が出るのが特徴。牛などの家畜の糞便で汚染された水や生野菜、生焼けの肉などをとることで感染してしまいます。

ノロウイルスやロタウイルスは対症療法しかありませんが、自然に軽快していきます。

次回は、ときには命を奪うこともあるこの「腸炎」を予防するためにできることは何か、お伝えしていきます。

参考文献
厚生労働省「e-ヘルスネット」/『潰瘍性大腸炎 正しい治療がわかる本』中島淳(著)法研/平成30年度 改訂版 潰瘍性大腸炎・クローン病 診断基準・治療指針(厚生労働省「難治性炎症性腸管傷害に関する調査研究」鈴木班/『Common Diseaseの病態生理と薬物治療』著:寺田弘、金保安則、原晃、オーム社(2019)

プロフィール有馬美穂
ライター。2004年早稲田大学卒業。『VERY』をはじめ、さまざまな雑誌媒体等で主にライフスタイル、女性の健康、教育、ジェンダー、ファッションについての取材執筆を行う。2児の母、文京区在住。

コラム一覧へ >