便秘と肌(3)

2020年5月13日

美肌をキープしたい! 便秘を予防するための習慣は?【皮膚科医に聞く】

便秘に悩んでいるという女性は多いのではないでしょうか?便秘の原因は、ダイエットや運動不足、忙しくてストレスが多い生活や食物繊維がなかなかとれない食生活などさまざまな原因が考えられますが、便秘のせいで吹き出物など肌トラブルが起こることも……。そこで、皮膚科専門医・田中敬子(たなか・けいこ)先生に「便秘とお肌の関係」をテーマに3回にわたってお話を伺います。3回目のテーマは「便秘を予防するための習慣」です。

排便のリズムを作ろう

--前回は便秘を予防するための食生活について伺いました。生活習慣についてはどんなところに気をつければよいでしょうか?

田中敬子先生(以下、田中):生活習慣で大事なのが、睡眠と前回も申し上げた通り「朝決まった時間に排便してリズムを作る」ですね。朝は余裕を持って排便する習慣をつけましょう。

また、運動も大事です。ウォーキングやジョギング、水泳などは自律神経のバランスを整え、全身の血流を促し、腸のぜん動運動を活発にする効果があります。有酸素運動を毎日15分行うと便秘の予防、改善につながるのでおすすめです。

ただし、45分を超えるとコルチゾールというストレスホルモンの分泌量が増すことで、老化を促進させる活性酸素が増えてしまいますので、運動時間には注意が必要です。

活性酸素が肌に及ぼす影響

--無酸素運動はいかがでしょうか?

田中:筋力トレーニング、ランニングなど大きめの負荷を短時間でかける運動を無酸素運動と言います。無酸素運動もやりすぎてしまうと活性酸素が増えやすく、肌の老化にもつながるので、美肌という観点で考えると無酸素も有酸素運動も長時間やるのは控えたほうがいいです。

--活性酸素はなぜ肌に悪いのでしょうか?

田中:活性酸素は本来は、細菌やウイルスといった外部の刺激から体細胞を守る働きを担っているのですが、活性酸素が増えすぎて抗酸化防御機構のバランスが崩れた状態を酸化ストレスと言います。紫外線、大気汚染、タバコなどは酸化ストレスを引き起こすリスク因子と言われています。

例えば、皮膚が紫外線に当たると皮脂の中の不飽和脂肪酸やスクワレンなどが酸化し、過酸化脂肪酸や過酸化スクワレンという物質に変化し、これが皮膚の細胞に対して細胞障害を引きおこし、肌荒れやシワ、たるみ、肌の老化の原因となってしまいます。また活性酸素はお肌だけではなく、がんや動脈硬化、生活習慣病などのリスクの増加にもつながります。

活性酸素が増える習慣はほかにもあります。飲酒は適量であれば活性酸素の害から身体を守り、アンチエイジング効果が高まるのですが、過度な飲酒となると逆効果です。アルコール吸収量が増加し、活性酸素を大量に発生させてしまいますので、飲酒はほどほどにしましょう。

また、タバコの煙には、体内の酸化や炎症を引きおこし、活性酸素を産出する物質が多く含まれていますので、なるべく控えたほうがいいでしょう。

紫外線に当たると活性酸素が増えるので、日焼けケアをこまめに行いましょう。外に出るときは帽子をかぶったり、日傘をさしたり、日焼け止めクリームをこまめに外用し、1年中紫外線対策を意識するようにしましょう。

便秘や肌荒れにならないために「やってはいけないこと」

--便秘や肌荒れが起きないために「やってはいけないこと」は何でしょうか?

田中:食物繊維が足りていないとしたら、まずは食生活を見直してみましょう。あとはストレスを溜める生活や睡眠不足はお肌にも便秘にとってもよくないですね。

私たちの肌は一定のサイクルで新しく生まれ変わるターンオーバー(肌代謝)を20代では約28日おき、高齢者では40〜60日おきで繰り返しています。

ターンオーバーは睡眠中に活性化するので、睡眠不足になるとそのサイクルが狂って肌荒れを引き起こしやすくなります。

また、第1回目でもお話したように、便秘によって腸内環境のバランスが崩れると老廃物が血液に乗って全身に行き渡ります。肌はその老廃物などの有害物質を汗や皮脂と一緒に毛穴などから体外に排出するのに手一杯となり、肌のターンオーバー機能が低下し、結果的に肌荒れにつながります。食生活や生活習慣でコントロールが難しいようでしたら、ビフィズス菌のサプリメントなどをとるようにしましょう。

プロフィール田中敬子先生
皮膚科専門医。都内病院勤務。野菜ソムリエ、フードアナリスト、国際薬膳食育師、スイーツコンシェルジュの資格も持つ。趣味は患者さんへのレーザー治療、料理、レストラン巡り、海外旅行、英会話。皮膚科専門医を持ちながら、幅広い食の知識を持ち、食事療法のアドバイスも行う。英語堪能。

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