便秘と肌(2)
2020年5月13日
便秘は、ダイエットや運動不足、忙しくてストレスが多い生活や食物繊維がなかなかとれない食生活などさまざまな原因が考えられますが、便秘のせいで吹き出物など肌トラブルが起こることも……。
そこで、皮膚科専門医・田中敬子(たなか・けいこ)先生に「便秘とお肌の関係」をテーマに3回にわたってお話を伺いました。第2回目のテーマは、「便秘を予防するための食べ物」です。
--前回は便秘がお肌に及ぼす影響について伺いました。今回は便秘を予防するための食べ物ついて教えてください。
田中敬子先生(以下、田中):まずは、朝起きたらコップ一杯の水を飲んで腸を刺激しましょう。朝食を毎朝きちんととることも大事です。体外に老廃物を出すことで排便のリズムを作ることを意識しましょう。
また、食物繊維をとることも意識してください。食物繊維を多く含む食品は、タケノコや緑黄色野菜、ゴボウ、サツマイモ、フキ、大豆、ひじきなどです。そして、適度な脂質も大事です。脂質に含まれている脂肪酸が大腸を刺激します
善玉菌であるビフィズス菌をとることも大事ですね。ビイフィズス菌は、ヨーグルトや乳酸飲料に含まれていますが、ビフィズス菌が入っている食品は乳酸菌に比べて少ないです。
また、ビフィズス菌は胃酸や胆汁などの消化酵素に弱いため、大腸に届くまでにその多くが死滅してしまいます。そのため、消化酵素から守る作用があるサプリメントでとるのもおすすめです。
ビフィズス菌などの善玉菌と呼ばれる腸内細菌の栄養源となって、それらを増やす効果があるオリゴ糖をとるのもいいですね。オリゴ糖は、ニンニクやタマネギ、バナナ、アスパラガス、味噌、納豆類に含まれています。
--便秘には「食物繊維をとるのが効果的」というのはよく聞きますが、食物繊維について詳しく教えてください。
田中:食物繊維は消化・吸収されずに、小腸を通って大腸まで達する食品成分を指します。便秘の予防といった整腸効果だけでなく、血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度の低下など、多くの生理機能が明らかになっています。
食物繊維は水に溶けない「不溶性食物繊維」と水に溶ける「水溶性食物繊維」の二つに分けられます。
不溶性食物繊維は、主に野菜や豆、キノコ、果実、海藻、エビ・カニの殻に多く含まれています。保水性が高く、胃や腸内で水分を吸収して大きくふくらみ、腸を刺激することでぜん動運動を活発にし、便秘の解消に導きます。
発酵性については、水溶性食物繊維よりは低いのですが、大腸内で発酵・分解されるとビフィズス菌が増え腸内環境がよくなり、整腸作用があります。
水溶性食物繊維は、主に昆布やワカメ、コンニャク、果実、里イモ、大麦、オーツ麦に多く含まれています。特徴は粘着性と吸着性で、胃腸内をゆっくり移動するのでお腹がすきにくく、食べすぎを防いでくれます。糖質の吸収をゆるやかにして、食後の血糖値の急激な上昇を抑えるのでダイエットにもおすすめです。
吸着性は、胆汁酸やコレステロールを吸着して体外に排泄します。発酵性は、大腸内で発酵・分解されるとビフィズス菌が増えて腸内環境を改善します。便を柔らかくする作用があります。
--ありがとうございました。次回は、便秘を予防する習慣について教えてください。