腸活と美肌(3)

2020年5月13日

皮膚科医に聞く! 美肌のために「やってはいけない」習慣

お肌は健康のバロメーター。いくらスキンケアを頑張っても、食生活が乱れていたり、睡眠不足だったり、ストレスが溜まっていたりすると肌の調子も悪くなってしまいます。 体の中から健康的な肌をキープするにはどんなことに意識すればいいの?そこで、皮膚科専門医・田中敬子(たなか・けいこ)先生に「腸活と美肌」について4回にわたってお話を伺います。第3回目のテーマは、「美肌のためにやってはいけないこと」です。

美肌のために「やってはいけない」習慣

--前回は「美肌のための食生活」をテーマにお話を伺いました。今回は、日常生活の中で美肌のために「やってはいけない」習慣について教えてください。

田中敬子先生(以下、田中):ストレスや紫外線、加齢、睡眠不足、消化酵素の低下ですね。また、添加物の多い加工食品をとったりすることも腸に大きな負担をかけ、腸内環境のバランスが崩れ、肌のバランスが崩れることになります。

ほかにも、タバコや過度な飲酒、有酸素運動のしすぎも肌にとってはよくないですね。

--現代社会の生活スタイルが肌に負担をかけているのですね。

田中:そうですね。まず、ストレスですが、精神的なストレスを受けると、脳の血流量が低下します。また、自律神経が乱れ、血液の循環が滞ってしまい血行が悪くなります。肌に十分な栄養が届きにくくなるため、ターンオーバーの乱れから肌機能が低下し、肌の不調が連鎖していき、結果的に乾燥肌や敏感肌、肌荒れなどの肌トラブルを引き起こします。

ストレスは精神的なストレスだけではありません。暑さや寒さといった気温の変化、花粉などのアレルゲンや大気中の有害物質など物理的なもの、睡眠不足など生理的なものもストレスの原因になるので注意が必要です。

睡眠不足が肌に悪い理由

--ストレスといっても、心理的なものだけではないんですね。では、睡眠不足が肌に悪いのはなぜでしょうか?

田中:私たちの心身は自律神経と大きく関係があるのですが、自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があります。

交感神経は「戦いの神経」と言われており、緊張状態を作り出すのに対し、副交換神経は休息時に優位になる自律神経で、血管が拡張して脈がゆっくりになったり、消化が促進されたりします。

睡眠不足になると交感神経が活発になってしまい、緊張モードが抜けなくなってしまいます。血管の収縮や覚醒反応が起こり、免疫機能の低下、肌のターンオーバーも不調となります。また、女性の場合は男性ホルモンの分泌が増え、皮脂量が増加しニキビが増えやすくなります。

ストレスや睡眠不足で自律神経が乱れると、腸内環境のバランスを崩すことにもつながるので、そういう意味でも肌に悪影響を及ぼしてしまいます。腸のためにも肌のためにもリラックスタイムをきちんととることが大切です。

冬も紫外線ケアをしよう

--紫外線のケアは1年中、大事なのでしょうか?

田中:そうですね。紫外線にはUVAとUVBの二種類あるのですが、UVAは紫外線の9割を占め、雲や窓ガラスを透過するため、冬でも油断できず、くもりの日、室内にいる場合でも肌に影響を与えます。美しく健やかな肌の源である真皮まで届くため、肌のハリや弾力を産むコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸を作り出す線維芽細胞を傷つけてしまうので肌のしわ、たるみの原因になるので注意が必要です。

なので、冬だからといって安心せずに1年中、紫外線対策をしっかりとするように心がけましょう。

--次回は、季節ごとのスキンケアについて伺います。

プロフィール田中敬子先生
皮膚科専門医。都内病院勤務。野菜ソムリエ、フードアナリスト、国際薬膳食育師、スイーツコンシェルジュの資格も持つ。趣味は患者さんへのレーザー治療、料理、レストラン巡り、海外旅行、英会話。皮膚科専門医を持ちながら、幅広い食の知識を持ち、食事療法のアドバイスも行う。英語堪能。

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