腸活と美肌(1)

2020年5月13日

皮膚科医に聞く! 腸内環境とお肌の関係は?

お肌は健康のバロメーター。いくらスキンケアを頑張っても、食生活が乱れていたり、睡眠不足だったり、ストレスが溜まっていたりすると肌の調子も悪くなってしまいます。体の中から健康的な肌をキープするにはどんなことに意識すればいいの?そこで、皮膚科専門医・田中敬子(たなか・けいこ)先生に「腸活と美肌」について4回にわたってお話を伺います。第1回目のテーマは、「腸内環境と肌の関係」です。

腸内環境と肌の関係は?

--お肌というとスキンケアなど外から手を加えることに目がいきがちです。今回は、体の内側、特に腸内環境が肌に及ぼす影響について教えてください。

田中敬子先生(以下、田中):まず、腸がちゃんと動いていると、有害なものをブロックしてくれるんです。未消化の食べ物をきちんと排出してくれて、食べ物から吸収した栄養分がスムーズに肌に伝わります。

腸には免疫細胞の8割が集まり、“幸せホルモン”と言われるセロトニンも8割が腸で作られています。腸内環境のバランスがとれていると肌の調子がいいのはこういうわけです。

善玉菌のバランスが崩れて腸内環境が悪くなると、ニキビ、乾燥、くすみ、敏感肌、ザラつきのほか、皮脂が増えて肌がかゆくなってしまう原因にもなります。

--肌のお悩みのほとんどですね!

田中:そうなんです。実は、肌にもスキンフローラと呼ばれる細菌叢(さいきんそう)が存在しています。そもそも、肌の表面で肌のPHを保てるのは、肌の善玉菌(美肌菌)が肌を弱酸性に保つ成分をコントロールしているからなんです。肌の悪玉菌が増えてしまうと肌のPHバランスが傾いてしまいます。善玉菌(美肌菌)のバランスを維持することが肌の健康維持にとっても重要になってきます。

肌の老化をまねく「糖化」って?

田中:腸の善玉菌が増えるためにはタンパク質が必要なのですが、加齢に伴い減少してしまうので、腸内環境は変化してしまいます。

また、食べ物からとった余計なタンパク質に糖が結びつき、細胞などを劣化させる「糖化」は身体の老化を加速させます。糖尿病の方は腸内で悪玉菌が増えており「糖化」が加速しやすくなります。

――「糖化」は、肌にとってもよくないのでしょうか?

田中:はい、良くないです。糖化が進むとたんぱく質はAGEs(終末糖化産物)に変わり、コラーゲンの伸展性を失わせ、結果として皮膚のしみやたるみの形成につながります。さらに、骨粗しょう症や生活習慣病のリスクを高めることもわかってきました。

肌にとっても重要な働きをするビフィズス菌

――そうなのですね。肌のためにも、悪玉菌を減らして善玉菌が多い腸内環境にすることが大事ということですね。

田中:そうですね。善玉菌の一つであるビフィズス菌はビタミンB群を作り出すことがわかっています。ビタミンB群は、エネルギーを作ったり、代謝、血液の生成などに関わっていて、肌にとっても大事な栄養素です。

また、腸内細菌が作る物質で、アンチエイジングに効果があると注目されているのが、「ポリアミン」です。ポリアミンは細胞の分裂や成長、遺伝物質やタンパク質の合成、細胞が酵素を作るときにもかかわる物質で、食品からとることもできますが、ビフィズス菌などの善玉菌を摂取することで腸内細菌に作ってもらうこともできます。

お肌のためにも、ビフィズス菌が含まれた食品やサプリメントをとって善玉菌を増やして腸内環境を整えることを意識した食生活や習慣を心がけましょう。

――ありがとうございます。次回は、「美肌のための食生活」について伺います。

参考文献
Geranium dielsianum抽出物を12週間摂取時の非盲検臨床試験 抗糖化作用、皮膚の質感および腸内環境(An open-label clinical trial of Geranium dielsianum extract administered for 12 weeks: Anti-glycative actions, skin quality, and intestinal environment)(英語)(原著論文)
Author:Yonei Yoshikazu(Anti-Aging Medical Research Center/Glycative Stress Research Center, Graduate School of Life and Medical Sciences, Doshisha University), Takabe Wakako, Yagi Masayuki, Takahashi Katsumi, Ito Misaki, Morii Hiroko
Source: Glycative Stress Research (2188-3602)3巻1号 Page44-55(2016.03)

健常若年女子学生の皮膚および腸内環境へのプロバイオティクスおよびプレバイオティクス発酵乳の効果(Effect of probiotic and prebiotic fermented milk on skin and intestinal conditions in healthy young female students)(英語)(原著論文)

Author:Mori Naoko(Department of Human Nutrition, Faculty of Human Nutrition, Seitoku University), Kano Mitsuyoshi, Masuoka Norie, Konno Tomoe, Suzuki Yumiko, Miyazaki Kouji, Ueki Yukihide
Source: Bioscience of Microbiota, Food and Health (2186-6953)35巻3号 Page105-112(2016.07)

漬物由来乳酸菌Lactobacillus plantarum TK61406の摂取が腸内環境、肌状態および集中力に及ぼす影響のランダム化比較試験検討(原著論文)

Author:森下 美香(東海漬物漬物機能研究所), 西尾 翔子, 伊與田 哲也, 小室 あゆ美, 河本 哲宏
Source: 新薬と臨牀 (0559-8672)65巻10号 Page1274-1294(2016.10)

機能性研究レポート コラーゲンペプチド含有ヨーグルト摂取による肌質改善効果(原著論文)
Author:市川 聡美(明治食機能科学研), 伊藤 恭子, 河端 恵子, 伊藤 裕之, 川島 眞
Source: FOOD Style 21 (1343-9502)17巻2号 Page29-32(2013.02)

プロフィール田中敬子先生
皮膚科専門医。都内病院勤務。野菜ソムリエ、フードアナリスト、国際薬膳食育師、スイーツコンシェルジュの資格も持つ。趣味は患者さんへのレーザー治療、料理、レストラン巡り、海外旅行、英会話。皮膚科専門医を持ちながら、幅広い食の知識を持ち、食事療法のアドバイスも行う。英語堪能。

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