便秘予防(2)

2020年3月31日

“腸活”にはストレスが大敵! 「腸内フローラ」と密接に関わる自律神経の働きとは?

「風邪をひきやすい」「便秘や下痢に悩んでいる」「頭がスッキリしない」など、なんとなく体調が悪いときに考えられる原因のひとつに、精神的なストレスがあります。これらの不調は、自律神経の乱れによるもので、“第二の脳”と呼ばれる腸への影響も例外ではありません。

ストレスが大きな影響を及ぼす「腸内フローラ」とは?

みなさんは、ヒトの健康において重要な役割を持つ「腸内フローラ」という言葉を知っていますか? 「腸内フローラ」とは、ヒトの腸内に生息しているさまざまな腸内細菌の生態系を指します。腸内の悪玉菌が増えて「腸内フローラ」のバランスが崩れると、体に不調をもたらすことが分かってきています。

そのバランスを崩す原因として、悪玉菌を増やしてしまうような食生活や、加齢による善玉菌の減少などが挙げられますが、ストレスも大きな要因のひとつ。「毎日緊張感を感じて、リラックスできない……」といった精神的なストレスは、「腸内フローラ」のバランスを乱してしまうんです。

消化機能を左右する「交感神経」と「副交感神経」

また、腸の動きは、自律神経と密接に関わっています。自律神経には、活動時に優位になる「交感神経」と、休息時に優位になる「副交感神経」があり、腸は、「副交感神経」が優位になったときに活発に動きます。そのため、リラックスタイムを十分に取り、「副交感神経」を優位にする時間を確保することが大切です。

逆に、“戦いの神経”と呼ばれる「交感神経」が優位なときは、脈も呼吸も速くなり、消化機能にエネルギーを割くことができません。精神的なストレスによって「交感神経」が優位な状態が長時間続くと、消化機能が低下し、下痢や便秘といった症状を引き起こしやすくなります。

「腸内フローラ」の乱れが、脳に影響を与えることも

さらに最近では、「腸内フローラ」が、脳に影響を与えていることも分かってきました。「副交感神経」が優位になって消化機能が促進されると、腸の働きが良くなり、脳が不安を感じることはありません。一方で、「交感神経」が優位になって腸の働きが悪くなると、脳が不安を感じ、さらなるストレスを生んでしまいます。

これらの関係は、「腸脳相関」と呼ばれており、自律神経だけでなく、「腸の不快感が神経細胞を通じて脳に伝えられ、脳の機能を低下させる」「腸が病原菌に感染すると、脳で不安感が増大される」「ある種の善玉菌は不安やうつ状態を軽減する」といった研究報告も。

今後は、「腸内フローラ」のバランスを意識する“腸活”の重要性が高まっていきそうですね。

“腸活”のための習慣を、できることから始めてみよう!

脳にも直接影響を与える臓器として、「第二の脳」と呼ばれている腸。「ストレスがさらなるストレスを生む」という悪循環を回避するためにも、私たちにとって“腸活”はとても大切なことです。そこで、腸の働きと密接に関わっている自律神経を整えるための習慣をご紹介します。

まず、夜型の生活を送っている人は、夜はしっかり休養する時間に充てて副交感神経を優位にすることを意識しましょう。また、1日の終わりや週末に意識してリラックスタイムを設けましょう。落ち着いてゆっくりと話すようにするのも自然と呼吸が深くなり、副交感神経を刺激することができるのでおすすめです。

このほかにも、早起きして余裕のある時間を過ごしたり、起きてすぐに朝日を浴びたり、コップ1杯の水を飲んだり、朝ごはんを食べたり、ほどよく体を動かしたり、首を温めたりなど、「副交感神経」の働きを高める方法はさまざま。

ビフィズス菌を含む食べ物やサプリメントを積極的にとることもいいでしょう。まずはできることから始めて、「腸内フローラ」のバランスを整え、健康で快活な毎日を過ごしましょう。

参考文献
『見た目の若さは腸年齢で決まる』辨野義己(著)PHPサイエンス・ワールド新書/『整腸力』辨野義己(著)かんき出版

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